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太陽面に現れた巨大黒点の活動

Sunspot group AR 2192 (c) SDO (NASA)AIA171(10/15 12:00 UT〜10/31 12:00) Edit;M.Higuchi /ファイルサイズが30MBのMP4ビデオです。

黒点群 AR 2192の15日間

動画は、(c)NASAのSDO衛星のデータから断片的に画像を取得して、 それを1本つなぎ合わせました。研究目的のための編集です。

巨大黒点群 AR2192 が現れる前の10月15日に始まり、太陽東側に出現した2192黒点群が、自転とともに西に移動して、 裏側に見えなくなる10月31日まで、一連のものです。
可視光で黒点は黒く見えますが、AIA171の画像は紫外線領域の光で観測しており、 活発な活動により紫外光が強いことから黒点付近は明るく写っています。

最初に画面左の少し下側に太陽面から放たれる明るいコロナが見えはじめます。太陽の自転により、 2192黒点群は太陽の南半球側の、画面のやや下側を通ります。
黒点群 AR2192は東西(左右)に活動領域がある広い範囲で、大きさは差し渡し地球の20倍はあるでしょう。
これほど巨大な黒点群は滅多に出現するものではありません。

黒点とフレア

黒点は、太陽内部の物質の動きで造られるダイナモの磁力線が表面から外側に飛び出したところで、 集まった磁力線により太陽表面6000度Kのガスの進入が阻害されて、凹んでいる構造がわかります。

磁力線が表面から飛び出すところにはN極かS極、或いは+と−があり、磁力線は互いにつながります。
ここに高温のプラズマ物質がまとわりついて筋状に光りをを放っております。 アーチ状の構造になったものがコロナループです。

黒点群には、細かいスパークするような光りが見えます。コロナループに別のコロナループが下側から接触すると、 磁力線のつなぎ替えが起こります。 これが磁気リコネクションで、一瞬のうちに磁気エネルギーが光と熱のエネルギーに解放されます。
これが太陽フレアです。フレアは爆発現象です。
この動画を見ると、規模の大きなフレアは多層構造のコロナループがあって、 下から上に向かって次々に磁気リコネクションが起きています。

もしこのとき大量のプラズマ粒子が蓄積されていれば、爆発的に質量が放出されます。
これがCMEコロナ質量放出です。
CMEは 磁気エネルギーが運動エネルギーに変換されて、高温のプラズマ物質が大量に惑星間空間に放たれるとともに、 螺旋の磁力線を伴っているため、地球に到達すると磁気変動を起こして被害をもたらすことが知られています。

今回の2192黒点群では、大規模フレアはありましたが、幸いにもCMEコロナ質量放出は観測されませんでした。

外部リンク資料

 


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